就寝前に、小さな大黒様とえびす様を取りだして、
「大黒さん、えびすさん、今日で出雲は終わりですよ。
ここは夜になると、神々がお出ましになる所。
よきご縁を結んできては、どうですか。」
と、主人が少々ほろ酔い加減で話しかけると、
「こんな恐ろしい所、2人では、よう行かん。(行けない)」
「ならば、龍をお共につけましょう。
龍の背中に乗って、出雲を見物されるといいですよ。」
そう言うと、
「ほな、行ってくるわ(じゃあ、行ってきます)」
と、お2人は、龍の背中に乗り、出雲の神さまを訪ねる旅に出ました。
(主人ともども、私たち、相当酔っています)
そんなこんなで、大黒さん、えびすさんを送り出したことも忘れて、
床につきました。
すっかり寝入っていると、ドーンと音がします。
「あ、大黒さんとえびすさん、帰ってこられたのかな。
まだ暗いから、まだ大丈夫。もう少し遊んで来てください。」
なんて思いながら、眠りに就こうとしたとき、
二度目のドーンという音がして、その音の方に目をやると、
何と!障子が私の方目がけて、スローモーションのように倒れてきていました。
とりあえず飛び起き、中腰で障子を支えている私。
「何で?」と思いながら、でも笑いがこみあげてきます。
ところが、もう1枚、またスローモーションで倒れてくる障子。
「あ~、もう無理」
そこへ、もう1つの手が伸びてきて、
しっかりと立ちながら、障子を支えてくれる人の姿。
そう、私の向こう側に寝ていたはずの友人が、
すくっと立ちあがって、障子を押さえてくれていたのです。
ドーンの音は、障子に一番近くに寝ていた主人が、
寝返りを打った際に、障子をけってしまった音だったようです。
とりあえず、障子は外したままにし、
大黒様とえびす様をお迎えする入れ物を出し、
机の上に置いて、もうひと寝入り。
「ふー、まったくもう。お酒は控えめに」
朝起きた時に、主人に
「昨日の障子が外れたこと、覚えている?」
と聞くと、
「覚えているよ。2人とも凄いねー」
と、まるで人ごとのように、感心していました。
まったくもう。
「あ、そういえば・・・
この旅の始めに、どのようなことに注意したらいいのか、
私の導き手(スピリット)に相談したところ、
出雲の国には、フワフワと丹田が浮きやすい場所があり、
人はその場所に行くと、羽目を外しやすいから気をつけなさいと
言われたことを思い出しました。
なるほど、その謎かけは、このことか。
丹田が浮きやすい場所とは、温泉のこと。
お酒を飲み、気分が解放されて、いつもはやらないようなことをしでかしてしまう。
導き手様、まさにご忠告頂いたとおりになりました。反省、反省。」
それでも、倒れてきた障子を受け取るとき、
2人とも、ちょうどサンに手が当たったおかげで、
破れることもなく、事なきを得ました。めでたし、めでたし。



