前回に引き続き、
今回は、お焼香するときの経文についてのお話をいたします。
焼香偈(ショウコウゲ)
がんしこうげうん へんまんじっぽうかい
1.願此香華雲 遍満十法界
むへんぶつどちゅう むりょうこうしょうごん
2.無遍佛土中 無量香荘厳
ぐそくぼさつどう じょうじゅにょらいこう
3.具足菩薩道 成就如来香
これは、お焼香するときに用いる焼香偈(ショウコウゲ)という偈文(ゲモン)です。
お坊さんは、お経を唱える前に、
お香を佛さまにお供えし、その場所を香りで清め、(道場荘厳)
佛さまを供養するための諸々の作法に入ります。
そのときに、この偈文を唱えながら、
お焼香を行ないます。(3回、微音で行なう)
一般的に私たちがこれを知っておいて、役立てる機会があるとすれば、
主に、お葬式や法事などのときでしょう。
また、霊場巡りで訪れたお寺や、
旅の途中で立ち寄った名刹、古刹等の寺、
家の中では、仏壇の中のご先祖さまに、
お灯りや経文、供物をお供えするときなどにも、
お使いいただけると思います。
例1:お寺や霊場巡りで用いる場合
いっしんちょうらい じっぽうほうかい じょうじゅうさんぼう
一 心 頂 礼 十 方 法 界 常 住 三 宝 と、3回唱える。
そのとき、1回目、2回目、3回目と唱えるときに、以下のように念じる。
1. 一心に佛に深く帰依し、奉る。
2. 一心に法に深く帰依し、奉る。
3. 一心に僧に深く帰依し、奉る。
また、時間のないときは、
偈文を一度に、微音にて、3回唱え、
佛・法・僧に深く帰依し、奉ると念じる。
例2:お葬式や法事のときなどに用いる場合
この頃は、時間の制限もあるため、
お焼香の時間も短縮され、「1回にしてください」とよく言われます。
また、お宗旨によっては、
「1度で充分ですよ」と言われるところもありますので、
厳密に3回行なわなくても、良いようです。
まず、焼香台の前に至りましたら、
合掌し、一礼
右手でお香を一つまみし、その下に左手を添える。
そして額の高さにうやうやしく持ち上げた後に、香炉に投ずる。
1投目
がんしこうげうん へんまんじっぽうかい
願此香華雲 遍満十法界
お亡くなりになられた故人を慰霊する意味を込めて。
次いで、2投目
むへんぶつどちゅう むりょうこうしょうごん
無遍佛土中 無量香荘厳
お亡くなりになられた故人のご家族に対して、弔意を表わす。
3投目
ぐそくぼさつどう じょうじゅにょらいこう
具足菩薩道 成就如来香
故人がお世話になった方々や地域社会に対してお礼の意味を込めて行なう。
このお焼香を、1~3投目まで行ないましたら、
両手を合わせ、合掌し一礼、
最後に、故人やご家族、ご親戚の方々に一礼して、その場を退きます。
人の死を悼むこと、
ましてや、それが身内であり、友人であった場合は、とても辛いことです。
せめて、私たちができることは、
お亡くなりになられた方のために、
安らかにお浄土へ旅立たれることを、心より祈ることぐらいです。
このように、お焼香は、意味を知って行なえば、
1投でも良いし、時間が許せば、3投行なっても良いということになります。
お香には、
その場を荘厳し、身を清めるという意味や、
香りを楽しむという意味、
人の死を悼むという意味まで、
今では広く用いられるようになりました。
人は時々に応じて、
様々な使い分けを行なっています。
どうぞ、皆さまも、お香を焚く折には、
この焼香偈の偈文などを、思い出していただいて、お役立てください。
立ち上る白い煙と、芳香の中に、
今日の1日の幸せを願い、
佛さま、ご先祖さまに、感謝の念を捧げる。
この香に、すべてを託して。


